「……私………私!…」
「セラちゃん!…癌が、再発した」
《………………………》
松村先生は、私の手を両手で包み強く握った。
「…………」
「今回は、赤ちゃんを諦めて治療をしよう………」
松村先生は、淡々と話をしていた。
私は、先生の口元を見つめていた……松村先生の言葉は、私の耳には、聞こえなかった。
《生きる為に、足を無くしたのに………神様……私の事が嫌いなんですか?……》
「…セラちゃん!?セラちゃん!?」
松村先生は、私の肩を揺すった。
「あっ……ごめんなさい……」
「いや、いいんだよ…お腹の子の事は、直に話をして、今回は諦めるんだね……また、治療をして元気になれば、赤ちゃんだって産めるよ…だからセラちゃんも…」
「直君は関係ない……」
「えっ!?」
「直君の赤ちゃんじゃない……」
「セラちゃん!?だって君は直と…」
「先生…もし、もしも治療しなかったら…私の命は、いつまでもつの…」
私は、冷静に松村先生に聞いた。
「治療をしないだなんて…」
「質問に答えて下さい!!」
「…二年…いや、一年かもしれない…」
《…一年…》
「…そうですか……先生…」
「治療をしよう!」
「…私…」