俺は親方に頭を下げた。
俺は、今はまだ仕事を一本に決める事を望んではいない。
パチンコの仕事をしながら、たまに親方の仕事を手伝うのが今の俺には合っている。
「おっ…あの子、絡まれて居るんじゃないのか?」

「えっ?」
親方が向いている方に俺は目を向けた。
コンビニの前で酔ってたむろって居る男達が一人の女を囲んでいた。
親方が立ち上がった。
「ちょっと行ってくる」
俺は目を細めた……。
「あの女……」
男達に囲まれていたのは、昼間、海の家に居た女だった。
「親方!」
俺は親方を引き止めた。
「あの女知ってるんで俺が行きます」
「…心!先に手を出すな!」
「はい…」
俺は男達に近寄り声をかけた。
「おい!」
男達は皆、俺の方に向いた。
「何だ?!」
一人の男が俺に向って歩いて来た。
「その女…俺の知り合いなんだ…」
男達が女に目を向けた、女は震えながら俺の顔を見た。
「セラ…行こう」
俺は女の腕を掴んだ。
「おい!待てよ!」
「…何だ」
俺は振り向き男達を睨み付けた。
男達は竦み、その場から去っていった。
「おい!心!平気か?」
「はい…」
親方は、俺の後ろに隠れている女を気にしていた。