俺は、部屋の窓を開け、真っ暗な海を見た。
「…次は無いか…」
誠が言った言葉が重かった。
ベットに寝っ転がり、目を閉じた。
数時間前まで一緒に居たセラの笑顔が見えていた……。
《セラ…あの笑顔の裏には、セラは決めていたんだな……最後を……そんな事もしらずに俺は……》
俺は、体を丸め強く、目をつぶった。
部屋に入る海風が、肌寒く感じた。


――「昨日は…悪かったな…」
直君は、車を運転しながら言った。
「もう、言わないで…」
「そうだな!、おじちゃん達まだ家に居るかな?!」
「たぶん居ると思うけど…もしかしたら、店の片付けに出てるかも…」
「9月だもんなぁ…夏も終わって、海の家も畳む時期だしな」
「…うん」
何だか、悲しかった…暑い夏に心と出会い、心に恋をして、結ばれ別れた…そして今、私の隣に直君が居る……、あの時、何も無かったら今頃は、私の隣には……。
「…セラ?セラ?!」
《!!》
右肩を直君に揺すられた。
「あっ!ごめん…」
「どうした?何か考え事?」
直君は、私の顔を見た。
「ううん、何も…ただボーッとしちゃって…」
「…本当に?」
「うん!本当!」
私は、直君に笑顔を見せた。