「…本当か?…」
「えぇ…」
「ごめん…」
直君は、私を抱きしめ、声が震えていた。
《謝るのは私よ……、直君ごめんなさい……》
「私が、悪いのよ…」
私は、直君の背中に手を回し言った。
「嫌…俺が、悪いんだ…、まだセラをちゃんと信じてあげられていないから……、ため息を聞いて……俺と居るのが嫌なんじゃないかって!」
「そんな事ない!無意識に…」
《!!》
私は、口元を押さえた。
「…無意識にか……」
「……」
「気にするな…、俺も色々考え過ぎた事もあった……疑っていたら、この先、生活していけないよな?」
「…うん」
「結婚式も近い…それまで、誰にも邪魔されずに二人でここで生活していこう!?…なっ?」
「うん…」


――家の前に着き、俺はバイクに跨ったまま、煙草に火を点けた。
「ふぅー……」
《…セラ…黙って消えるなんて…》
俺は、首に掛けてあるネックレスを握った、俺とセラの頭文字が重なった。
(トンッ!)
《!!》
「よっ!」
突然後ろから、肩を叩かれ振り向くと、誠が立っていた。
「ビックリさせるなよ!」
「あっ、わりぃーなっ!」
誠は謝っていたが、悪怯れた様子ではなかった。