俺は、おばさんにセラの病気が…、癌が完全に消滅していないかもしれないと聞かされた、検査をしてみないと解らないと……。
「…足を切断する前に、先生から言われた事があったのよ…切断しても5年以内に癌が発病する確立が高いと……私達は、その事をセラに言わずに、あの子の足を奪った……」
「5年以内……いつ!いつ病院に?!」
「明日なのよ……」
「明日…」

《セラ…お前を今、強く抱きしめたい……》
俺は、窓から流れてくる波の音を聞きながら、ベッドの上で体を丸めた。


――《心…今この月を見ている?…自分に正直になれなくてごめんなさい……直君を一人には出来ない……ごめんなさい……》

「ただいま!」
《!!》
私は、涙を拭き笑顔を作った。
「お帰りなさい!」
直君は、義足を抱え部屋に入ってきた。
「義足取ってきたぞ」
直君は、義足を私に差し出した。
「…ありがとう…おばちゃん…何か言ってなかった?…」
一瞬、直君の顔色が変わったように見えた。
「…別に何も、俺と一緒だって言ったら安心したって…」
「…そう…」
「それよりほら!義足付けなよ!」
「…うん」
直君は、私の右足に義足を付けてくれた。