太陽の光が射した部屋は、天井には蜘蛛の巣が付いていた、畳には埃があった。
「…ゴホッ!ゴホッ…」
私は、義足が無い足で掃除を始めた。


――仕事が終わった俺は、海に向かった。
昨日の直との事が気になり、セラの様子が知りたかった。
海には、疎らに人が居たが、真夏の時に比べ人が減っていた。
「……」
俺は、店の横で立ち止まった。
《待つしかないかぁ……》
吸い終えた煙草を空き缶の中に入れ、海を眺めた。
「……」
(ニャァー…)
振り向くと、前に公園で会った真っ白な猫が、俺の足元で座っていた。
「…お前…」
俺は猫を抱き上げた。
「また、脱走か?」
(ニャァー…)
猫は、俺の言葉に返事をしたような気がした。
「…そう言えば…、お前と会った時…セラに逢えた…今日も逢わせてくれるのか?福猫?」
猫の顔を覗くと、猫は顔をそらし海の方を向いた。
(…ニャァー…)
「よしっ!」
俺は、店に目を向けると店から、おばさんが出てきた。
「…あっ…」
俺は猫を下ろし、おばさんの元へ駆け寄った。
「すいません!」
おばさんは、看板を持って振り返った。
「心君!」
おばさんは、看板を置き店を覗いて俺の腕を掴んだ。