私は、全身から震えが走った。
スピードが出ている車は国道から、どんどん離れて、険しい道へと進んでいった。
「直君!どこに行くの!?ねぇ!?直君!?」
私は、直君の左腕を掴み揺すった。
「………」
車は、森に入って着たのか辺りは真っ暗で、車のライトが先が見えない森を照らしていた。
(キィィィィー!!)
《!!》
直君は車を、突然停めた。
車のライトが消え、月の明かりが微かに周りを照らしていた。
「…直君!?ここどこなの?!」
横に座っている、直君の表情が、ハッキリと見えなかった。
「……」
「直君!?ねぇ!?」
(ガチャッ)
直君は、車のドアを開け何も言わずに車から下りた。
「直君!!」
(ガチャッ!)
直君は、助手席のドアを開け無言のまま私を抱き抱えた。
「ねぇ!?直君!?何か言ってよ!?」
私は、抱き抱えられたまま、直君の肩を揺らした。
「…静かにしろ…」
「…直…君」
私を抱き抱えたまま、直君は、砂利の道を歩きだした。
車からどのくらい離れだろうか……直君の足が止まった。
私は、直君が見ている方に目線を向けた。
「直君…ここは…」
「……」
私の目の前に小さな古びた家が建っていた。