――俺は、防波堤から離れ公園に居た。
公園は、オレンジ色に染められていた……。
煙草の煙は、夕焼けの空に向かって上っていった。
ポケットから、重い携帯電話を出して見た。
「…掛かってくるわけねぇーよな……」
俺の視野に人の靴が目に入ってきた…俺は目線を上げた。
「……!」
俺は、ブランコから立ち上がった。
「…お久しぶり」
直が立っていた。
「…お前…!」
俺は、手を強く握り絞めた。
「携帯電話なんか見つめて誰を待っているのかな?」
直は、嫌な微笑みで俺を見た。
「お前…汚いまねをしやがって……」
「汚いまね?…なんの事か分からないな!…」
(バチッ!!)
俺は、力一杯直の頬を殴った。
「…ブッ!!」
倒れこんだ直は、唾を吐いて、俺を睨んだ。
「立てよ!!」
直は、ゆっくりと立ち上がた。
「…ふざけんな!!お前がセラの前に現われなかったら!今頃俺達は幸せに結婚してた!お前が邪魔者なんだよ!!」
(バチッ!バチッ!!)
直は、俺の胸元を掴んだまま殴った。
「う゛っ!」
「お前さえ!お前さえいなけれ…!!」
直は、殴り掛かろうとした手を、ゆっくりと下げた。
「…放せ!!」
「ネックレス…」