直君の目が恐かった。
「……分かったわ…」
直君の手の力が弱くなった。
「……」
「…今日は、もう遅いから明日にでも連絡しておくから……」
直君は、私の腕を放し黙ったまま、海を見つめた。
「……あぁ」
……それから私達は、黙ったままだった。
家に着いても、直君は何も言わずに帰っていった。
「……」
私は、ベッドに寝転がった、月明かりの部屋で自分を見つめ、問い掛けた。
《……セラ……あなたは悪魔になってしまったの?……一つ…二つ…三つと、嘘を重ねて……自分の首を絞めていって……周りの人達を傷つけ……セラは悪魔……その内に天罰が……その時に後悔しても遅い……》
「……神様……ごめんなさい……」


――あれから、セラと逢っていない……四日が過ぎ、海には秋風が吹き始めていた。
俺は、防波堤に座り海を見つめた。
「セラ…俺達が逢った季節が終わろうとしている……セラ……この海を今見ているか?……」


――「セラ!!」
私は、振り返った。
「ごめんな!待たせて!」
「平気よ…」
「行こうか!!」
「うん…」
私は海から離れ教会に向かった……あの夜の翌日、私は友達に頼み直君と会ってもらった…。