直君は、門で立ち止まった。
「セラ……」
直君は、私に背中を向け静かに私の名前を呼んだ。
「何?…」
私は、直君の背中に言った。
「楽しかったか?…」
「…うん」
「そっかぁ!良かったよ!楽しかったなら!」
そう言って直君は振り向き、私を見て笑顔を見せた。
「うん……」
《さっきの話…聞いていたんじゃ……》
「?…これ…」
直君は手を伸ばし、ネックレスを触ろうとした。
「あっ!!」
私は、ネックレスを握り直君の手を避けた。
「……」
「あっ!ごめんなさい…これ友達から貰ったの…」
「そう…似合ってるよ…」
「ありがとう…」
直君は、私の首元に右手を回しキスをした。
「明日、夕方には仕事終わるから店に迎えに行くよ」
「…うん」
「おやすみ」
「おやすみなさい…」


――「心!荷造りは終わったか?!」
親方は、首にタオルを巻いて俺の隣に座った。
「後は荷物を運ぶだけです」
「そうかぁ!」
「はい…」
「でも何でまた引っ越しなんか?」
俺は煙草に火を点けた。
「気分的な問題です……何か、また1から始めたくて……」
俺は、海のすぐ近くに引っ越した、窓を開けると海が眺められるアパートに…。