「……心」
「ん?」
「……遅いの……もう……遅いのよ……、私決めたの……、直君と結婚するって……、決めたの……」
俺の腕の中でセラは、震えた声で話した。
俺は、ゆっくりとセラを放した。
「……ごめんなさい……心……」
セラは、ポロポロと涙を流した。
「泣くな……、セラが悪いんじゃない……、俺が悪いんだ……、泣くなセラ……」
私の頬に手をあて、心は、私の涙を優しく拭った。
「……ごめんね……ごめんね……心……ごめんね……」
「いい……、謝るな俺が全て悪い……、泣かないでくれ、セラは笑ってる顔が可愛いんだ……、泣かないでくれ……」
セラの左手の薬指には綺麗な指輪が光っていた……。
「……」
「…結婚、おめでとう……、幸せになれよな……必ず幸せに……」
「心……」
「これからは、友達だ……、俺と友達で居てくれるよな?……」
「……友達……」
「あぁ…、友達で居てくれ」
《セラとの関係を切りたくない……どんな関係でもセラの傍に居たい……近くに……》
「……」
セラは、静かに頷いた。
「ありがとう……、最後に言いたい事が…、セラ……俺はセラを……愛してた……心の底から愛してた……セラ」