――俺は、歩道で大の字になって倒れた。
「はぁー!はぁー!はぁー!はぁー!…セラ…!」
俺は、起き上がり壊れたサンダルを握りしめ、裸足で歩道の下の海に向かった。
波の音は、俺の心とは違って、穏やかな音をたてていた。
「はぁー…」


――「俺らしいってなんだ?…、いつも笑顔見せてセラに兄貴的な存在でいるのが、俺らしいのか?…、俺はそんな関係嫌なんだ!!もっと俺を見てくれ!!俺を愛してくれ!!」
「……!」
直君は、私の両肩に手を置き強く握った。
「…見にいこう…ドレス」
「…ごめんなさい…、私…」
「行くんだ!!俺とセラは結婚するんだ!!」
直君は、車から下り助手席のドアを開け私の手を引っ張った。
「直君!!」


――「セラ…、お前は本当に結婚しちゃうのか……」
俺は、煙草をくわえながら月を見ていた。
《セラ、あの夜俺に別れを告げる為に、俺に抱かれたのか…、俺を愛していると言ってくれた唇…目…、嘘があったとは思えない…、なのにセラ…》
俺は、裸足のまま海を跡にした。


――試着室に入ると畳一畳分の大きな鏡が、私を映していた。
鏡の横には、純白のウエディングドレスが飾られていた。