私の頬に涙が零れ落ちた。
「心……ごめん……ね……」
走って追い掛けて来ていた心の姿が、もう見えなくなった。
「何で!?」
「……」
「何で、泣いてるんだ!?」
「…ごめんなさい……」
「謝るな…」
直君は、ハンドルを強く握りしめた。
「…ごめん……なさ…い」
私は、目に手をあて顔を隠した。
「謝るなぁー!!、…俺達は結婚するんだ!!」
「…私は…」
(キィィィィーーー!!)
突然、車は駐車場に止まった。
(ドンッ!)
直君は、ハンドルに頭をつけ、ハンドルを強く叩いた。
「……ここだ…」
「…えっ?」
「ドレス選びに行くぞ……」
「直君!でも私は!…」
突然、直君は私の手を握りしめた。
「セラ!俺の事好きだと言ったよな!俺と結婚すると言ってくれたよな!なのに今更、出来ないと言わせない!!」
「直君……」
「俺しか居ないんだ!セラを幸せに出来るのは!!忘れろ!!早くあんな男忘れろ!!」
直君は、私にキスをしてきた。
「嫌…!…やめて!!」
(パチンッ!!)
私は、直君を突き放し頬を叩いた。
「……ごめん」
「……」
直君は、黙ったまま下を向いていた。
「…こんな事、直君らしくないよ」