「…心、宜しくな!」
「はい!ありがとうございます!頑張ります!」
俺は、親方の手を両手で握った。
「心、お前の心を動かしたのは、何だ?」
「……」
「話したくないならいいんだ、…ただ、今迄のお前は…」
「一人の女と出会いました…、とても心が強い女で…綺麗な心を持った女で…俺、初めてこいつだったら向き合えるんじゃないかって……、けど……」
俺は、両手を握りしめた。
「心!しっかりしろ!何が有ったか知らんが、お前だったら頑張ること出来るだろ!?人の心を動かすなんて、凄い女だ!惚れた女なら放すんじゃない!分かったな!?」
親方は、俺の肩を強く握った。
「……親方」
俺は、親方の家の帰り道、海に向っかた。


――「じゃー…、いってきます」
私は、直君の車の助手席から顔を出し、おばちゃんとおじちゃんに手を振った。
「セラ……」
おばちゃんの顔が、悲しそうだった。
「綺麗なドレス選んできなさい!」
「うん…」
おじちゃんは、笑顔で言った。
「直!宜しく頼むぞ!」
「はい!行ってきます!」
(プップッ…)
直君は、クラクションを鳴らし車を走らせた。
「20分くらいで着くから!」
「うん…」