(プルルルル…プルルルル…プルルルル…プルルルル…)
ベッドの上に置いてある、重くて大きな携帯電話が、鳴っている。
「……一人にしてくれ」
俺は、外に出るのが恐かった……、一歩外に出れば、俺の足はセラに逢うために進んでしまう…セラに対する愛情が、俺の心から離れる迄、俺は外に出るのが恐い……。
(プルルルル…プルルルル…プルルルル…)
ここ一週間、電話は毎日、鳴っている……、多分店か誠か、沙羅か、親方か、……セラ……。
《!!》
俺は、携帯に手を伸ばした。
(プルル……)
《…切れた》
「今更、電話なんか掛けてくるわけないよな……」
テーブルに置いてある、ぬるいビールを飲んだ。
「セラ…お前は俺が幸せにしてあげなくても、自分の手で幸せを掴めるよな……だけど…俺は…セラとじゃなきゃ……幸せに……なれないよ……」
酒のせいか、俺は涙が出てきた。

――昨日は、暑苦しい夜で中々寝付けなかった。
「おはよう」
居間に居るおじちゃんとおばちゃんに挨拶をした。
「おはよう」
「セラ、顔洗ってらっしゃい」
「はーい」
私は、目を擦りながら洗面所へと向かった。
(ピンポーン…)
玄関のチャイムが鳴った。