「セラ、この前の事だけど…」
「シッ!」
セラは、俺の唇に人差し指を付けた。
「もう、何も言わないで…心は私と逢ってくれた…私は、それで幸せなの…今、心を抱きしめて…心の体のぬくもり…心の胸の鼓動…今だけは、心は私だけのもの…そうでしょう?」
心は、私を見つめ頷いた。
「これからも、ずっと俺はセラのものだ…」
私は、心の胸に顔をのせた。
涙が…溢れてきちゃうよ。
「セラ?」
俺は、胸に何かが落ちるのを感じた。
《泣いているのか?》
「セラ、泣いて…」
「ありがとう」
「うん」
俺は、セラの頭を撫でた。
《心の口から、花火の夜の事…あの彼女の事は聞きたくない…この優しい言葉を嘘だと思いたくないよ、心!》

俺は、セラに腕枕をしたまま、眠ってしまった。

「心…あなたに私の心(こころ)を置いていきます…さようなら…」
私は、眠っている心にキスをした。


窓から太陽の光があたり、俺は、眩しくてカーテンを閉めた。
《……》
「あっ…!セラ?!」
昨日の夜、確かに俺の腕で寝ていたはずの、セラがベッドからも部屋からも消えていた。
俺が貸した洋服とズボンは椅子の上に綺麗に畳んで置いてあった。