――俺は、家を出た。
沙羅は、疑いながらも渋々返事をし俺は、外に出れた。
《セラ…逢いたい!顔が見たい!》
俺は、長い坂道を通らずに反対側の道に向かって走りだした。

《セラ!》

――「はぁー…緊張してきたよ…」
私は、階段を一段一段、ゆっくりと上がった。
玄関の前の通路には、洗濯機が、ズラリと並んでいた。
「…201……202………203、ここだ…」
玄関の横にある、ポストを見た。
「大崎…」
ポストには、名字が書いてあった。
《初めて知った…心の名字…》
名字が書いてある所を、私は指で触った。
《一つずつ、心を知っていこう…》
私は、玄関の扉をノックした。
(コンコンッ!)
返事が無かった…。
玄関の横にあるガラス窓には、部屋の明かりが写っている。
私は、もう一度ノックをした。
(コンコンッ!)
《寝ちゃってるの?…》
「…心、セラだけど、居ないの?…」
私は、窓の側で声をかけたが、やっぱり返事が無かった。
「…やっぱり寝てるのかな?」
私は、階段に向かって2〜3歩、歩きだし振り返った。
「明日は、逢えるよね…」
そう言って、階段に向かった。
(ガチャッ…)
ドアが開く音が聞こた。