《直君!?》
「直君ね!?直君から何か聞いたんでしょう?!」
私は、おじちゃんの両腕を握った。
「違う…直から何も聞いていない」
「そんなの変よ!さっきまで普通だったのに!急に、そんな事言うなんて!誰からか何か聞かなきゃ…!」
「セラ!俺は何も言ってない」
おじちゃんの腕を掴んだまま後ろを振り向いた。
「言ったわ!何か直君は、おじちゃんに言ったのよ!!」
私は、直君を睨んだ。
「セラ!落ち着きなさい!お父さんも直も、座って!」
おばちゃんは、私を椅子に座らせた。
「お父さん、どこから誰に聞いたか知りませんが、心君本人に聞かないと…」
「聞く必要は無い!セラ、彼とは今後、会っては駄目だ!」
「ちょっと!待ってよ!おかしいわよ!そんなの!だって!…」
「だってじゃない!!」
(バンッ!!)
おじちゃんは、テーブルを叩いた。
「…私は…自分の目で…耳で…真実が知りたいの」
「セラ」
直君は、私に手を伸ばした。
「触らないで!私は、心に聞く迄誰の言う事も信じないから!」
私は、店を飛び出した。

――家の前に着き、俺は窓を見た。
「はぁー!はぁー!…沙羅…居ないのか?!」