思わず部長に視線を向けると、眼鏡越しの瞳と目があった。

二重のぱっちりとしたその瞳に見つめられて、私の心臓がドキッ…と鳴った。

「――部長は、からかっているんですか?」

心臓の音を部長に聞かれたくなくて、私は彼に聞いた。

「えっ?」

訳がわからないと言うように聞き返してきた部長に、
「その、私のことをバカにしているのかなって…」

私はもう1度彼に聞いた。

部長はフッと笑みをこぼすと、
「僕が南くんをバカにしているって?

そんな訳ないじゃない。

どうして上司である僕が部下をバカにしないといけないの?」
と、言い返した。

「だって、“かわいい”とかキスしたりとか…」

そう言っている私の頬が熱を持っていることに気づいた。