「へえ、見てたんだ」

そう言った部長に、
「ええ、忘れ物を取りに会社にきたら遭遇してしまったものですから。

告白した女子社員、かなり泣きそうな顔をしていましたよ」

私は言い返すと立ち去ろうとした。

「おもしろいね」

「はい?」

そう言った部長に私は思わず彼に視線を向けた。

「南くんって無口で無表情で…まあ、何て言うか大人しいイメージがあったんだけど、意外にもズバズバとものを言ってくるなって思って」

部長は珍しいものが見れたと言わんばかりに笑っていた。

無口で無表情、か…。

まあ、確かにそうだな。

いつからそうなってしまったのかは自分でもよくわからないけれど、確かに無口で無表情だなと自分でも思う。