休憩なしで仕事に集中した結果、その日は定時で帰れることになった。

最後に定時で帰れたのはいつだったのか覚えていないけれど、久しぶりの定時帰りに私のテンションはあがっていた。

書類チェックとやり残したことはないかの確認をすると、
「お先に失礼します」

あいさつをしてオフィスを後にした。

いつもは遅く帰ることが多いから自炊になることが多いけれど、今日はどこかで夕飯を食べて帰ろうかな。

そう思いながら空っぽになったブラックコーヒーの缶をゴミ箱に捨てると、
「ああ、もう帰るんだ」

その声に視線を向けると、ファイルを手に持った部長がいた。

「仕事が終わりましたので」

私はそう返事をすると、部長から目をそらした。

「休憩しないで頑張ったもんね、えらいよ」

部長がそう言ったかと思ったら、ポンと頭をたたかれた。