午後も目の前の仕事に取りかかっていたら、
「南さん、今日は休憩に行かないんですか?」

隣のデスクの丸山さんに声をかけられた。

「えっ…」

ああ、もういつもの休憩時間か。

昼休みに買ってきたブラックコーヒーに手を伸ばすと、プルタブを開けた。

コクリと1口飲むと、仕事に取りかかった。

「珍しいですね、休憩に行かないなんて」

丸山さんに言われてギクリとなったけど、
「片づけたい仕事がありますから」

私は答えた。

チラリと部長のデスクに視線を向けると、彼はそこにいなかった。

部長は部長で休憩に行ったみたいだ。

本当は彼と顔をあわせたくないから休憩に行かなかったんだけど。

私は息を吐くと、ブラックコーヒーを口に含んだ。