「ごちそうさまでした」

うどんを食べ終わると、両手をあわせた。

「えっ、早いね」

そう言った部長を無視すると、椅子から腰をあげた。

お盆を手に持つと、早足でその場から立ち去った。

私はどんな顔で食堂を歩いているのだろうか?

顔は紅くないだろうか?

熱っぽい顔をしていないだろうか?

そう思いながらカウンターにお盆を置くと、食堂を後にした。

「もう考えるな、やめよう」

これ以上部長のことを考えていたら、ペースが狂ってしまいそうだ。

今日の休憩はオフィスですることにしよう。

ヘタでもして部長にキスをされたら…ああ、もう考えたくない!

そう思いながら自販機でブラックコーヒーを購入すると、オフィスへと足を向かわせた。