眠気が一気に吹き飛んだ。

「それ、苦くないの?」

部長がブラックコーヒーを指差して聞いてきた。

「苦くないです」

私は答えると、もう1口飲んだ。

「僕、コーヒー苦手なんだよね。

砂糖やミルクを入れても全く飲めないんだ」

部長が言った。

「そうですか」

私が返事をしたら、
「だからコーヒーを、それもブラックで簡単に飲める人ってすごいなって思うんだ」

部長が言い返した。

「特技みたいに言わないでください。

そう言うのは人それぞれの好みの問題ですから」

私はさらに言い返すと、ブラックコーヒーを一気に飲み干した。

昨日のことも手伝ってか、部長といるとペースが狂いそうな気がする。