あの有名なイエローランドに行った

バスで1時間くらいかかった

私はバス酔いしちゃったけど

龍星は全然平気でお姫様だっこで

ベンチまで運んでくれた


…って言うのが私の理想だったんですけど

確かに私はバス酔いしちゃってフラフラだったけど

でも龍星までバス酔いしてて

さすがに笑っちゃったよ

2人でフラフラしながらベンチに座ったよね

ベンチに座ってたら

なんか酔いがおさまってきて

ちょっと遅れたデートのスタートだった

1日券を買ってもらって

全部のアトラクションに乗ることにした


真っ先に私達は

ジェットコースターに乗った

待ち時間40分だったけど

全然2人でいれば暇じゃなくて

私にしてみれば数分の出来事だった


ジェットコースターは

私の希望だったから

今度は龍星が選ぶ番だった

龍星は

「端から回っていけばいいんじゃない?」

そりゃそうだけど

『全部回る予定だもんね』

私のジェットコースターは

入り口から入ってすぐの左端のヤツで

その隣は…


迂闊だった…

オバケ屋敷の存在を忘れていた

私は小さい時に色々あって

暗所恐怖症なんだ

でも雰囲気をぶち壊したく

なかったから私は震える足で

オバケ屋敷に入った

別にオバケ屋敷が怖いんじゃないよ?

オバケ屋敷が好きじゃないってだけ!

「オイお前オバケ屋敷大丈夫か?」

『え?何が?全然大丈夫だよ?』

ヤバイヤバイ

バレたのかと思った

演技派の人間なんです

「それならいっけ…」

ばあああぁぁぁぁぁぁ!!

キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!

予期せぬオバケに思わず悲鳴…

そして力が抜けて立てなくなった

まだ小学生だった龍星が

運ぶことなんてできるわけなくて

ただ座り込んでた私を抱き締めてくれた

私は少し落ち着くことができた

龍星は温かかった

それは私が初めて

愛しいと感じた瞬間だった

それと同時に

さっきまでは気付かなかったことも

たくさん知ることができた

ドキドキ胸が高鳴って

緊張しているのは私だけだと思い込んでた

でも違った

ホントは龍星も緊張してた

ドッドッドッ…!

龍星の鼓動が聞こえる

こんなに緊張してたんだ

伝わらなくていいものまで

伝わってしまいそうで

心臓におさまれってお願いした


「…はい!これ使えよ」

龍星がファン避けに使っていたサングラスをかしてくれた

サングラスをかけると

ほとんど何も見えずに

ただの悲鳴が鳴り響く暗闇だった

さっきと何も変わらないはずなのに

目が見えなくなった分の五感が研ぎ澄まされて

繋いだ手から熱を感じた

私は龍星から手をひかれ

あやふやな足で少しずつゴールへ進んだ


オバケ屋敷、ついにゴールイン!!

オバケ屋敷を出たから

私はサングラスを外して流星に返そうと思ったら

カフェテリアにいるおばさん方が

こっちに走ってきた

私は龍星に手をひかれ、全速力を超えるスピードで走った

なんで逃げているのかも知らずに…

横腹が痛い…

はぁ…はぁ…はぁ…はぁぁ…

体力のない私はどうにか瀕死で頑張った

気付けばもう1番奥の観覧車に到着していました

観覧車は1番最後に乗るのが王道だったのに…

「はーい!お2人さんカップル割でーす!」

私達2人は向かい合わせになって座った

少しずつ上っていく観覧車は遅くて

早くこの気まずい密室から出たいのに

まだ頂上ちょっと手前

『観覧車の頂上でキスきたら…』

だとかジンクスを聞いたことがあるけど

ココの観覧車でもそれって叶うのかな

ジンクスなんかを

信じてる訳じゃないけど

神頼みしてる訳じゃないけど

ただ

『折角なら…』

って想いが募る

『ココでキスしよ?』

言えたら…

あーあ。

もう頂上だよ…?

ガタンッ!

一瞬観覧車が揺れた

龍星が立ち上がり

こっちに近付いてきた

え???


「ーーーーーっ////」

頭の中が真っ白になった

え?え?何々??

何があったの??

私もしかしてキスしちゃった!?!?


お父さん、お母さん、

私、約束破っちゃった

前言ってたよね

『キスはね大人になって両想いになってから…』

ごめんなさい

私、不良娘になっちゃったかもです…

でもヤンキーではないから不良娘ではないのかな?

あれ?

どうなるんだっけ?

脳の容量オーバー。

頭が混乱してる

「…好きだよ」

唐突に真っ直ぐな言葉をキミは突き付ける

もちろん私も好き…

真っ直ぐな人は大嫌いなはずだけど

やっぱり違ってた

大好きな人からの真っ直ぐは

素直に嬉しい

私も伝えたい

素直な気持ちを今すぐに言いたい

「ー私もですよ」

照れちゃってそっぽ向いての言葉だったけど

つ・た・わ・れ!! 

こんな私だけどこの想い

少しでも伝わったよね?

私もっと単純バカで真っ直ぐなら

もっと伝わったはずだけど…

そんなこと言ったってできないんだよ

ごめんね

これが今の精一杯の言葉だから受け止めて


でも…

『付き合って』

とは言われてない

だから恋人にはなってないんだ

あと1歩、ねぇ、あと少し、

近づけば届いたのかな…

近くて遠い距離。


無言で私の手をひいて歩く龍星は

さっきよりも熱を持ってて

顔まで真っ赤に染まっていた

今度はメリーゴーランドやコーヒーカップとか、

ミラーハウスだとか

2人で楽しめるアトラクションにばっかり入って

1日を遊びまくっていた


だが事件がおきた

『水がかかるジェットコースター』

に私達2人は乗りたかった

なんと記念撮影もあるのだ!!

只今の時刻は1時半

このジェットコースターは

3時間待ちな訳でして

このまま並ぶと4時半になってしまうため

もちろん私達はお昼ご飯を優先した

けどまだお腹は空いてない


だからジェットコースターの隣の

『握力ゴリラ』をしてみた

龍星は『31㎏』で空気ハンマーをゲットした

私はと言うと…

テ 、テ 、テ、テ、テ 、 テ 、 テ 、テ 、テ、テ

テーーーーーン!!


なんと『42㎏』になってしまった…

こういうとき女子なら誰しもがきっと

手を抜くであろうが


大失敗してしまいました…


景品はブーさんのとても大きいぬいぐるみゲット!

お隣にいらっしゃる龍星先輩は
笑いを必死にこらえて下を向いています

私、ブーさん大好きだから盛大に喜びたいけど

今はそれどころじゃない

「ブフッ!マジか!」

今まで笑いを抑えてたのがもう限界に達したんだと思う

吹き出した様に笑う龍星に私は

ちょっとイラッとした!!

「うぅ…」

何も言い返せない

『手を抜いたんです~!』

とか言い訳したいけど手を抜いたの前に

本気でしてしまったからどうしようもない

「お前こんな握力あったのかよ…」

笑いながら私をバカにしてる

でも握力の弱いやつが

強いやつをバカにするのは

おかしな話じゃない?

あーあ。

もうホント恥ずかしい…////

「…」

むーーーーーー!!

もう!もう!もう!もーーーーーーうっ!

なんでこんなときに限って

本気になっちゃったんだろう…

はいっ!次!行くぞ!オー!

切りかえだー!!