いつも浮かべている余裕そうなものではなく、強張ったようなどこか不自然な微笑みを浮かべる宮地なんて見たことがない。

仕事でも同期会でも、いつだって宮地はへらへら自然な笑顔を浮かべているようなヤツなのに……。

それだけ、私が告げようとしている答えを前に、緊張しているってことなんだろうか。

そう考え胸がミシミシと軋むように痛んだ。

私を好きだって、本気で言ってくれたんだと実感し、苦しくなった胸の前で手を握りしめた。

嬉しいと思う。
ずっと好きで、可能性なんてないってわかっても、それでも好きだった人に、想いを返してもらえるなんて嬉しいし、これ以上ないくらいに幸せだ。


――それでも。

「ごめんなさい。宮地の気持ちには応えられない」

決めた答えは変わらなかった。
私が出す答えなんてわかってたみたいに、微笑んだままの宮地に続ける。

「宮地が好きだった。ずっと……軽い恋愛しかできないって知ってても、私なんか振り向いてもらえないってわかってても、それでも好きで仕方なかった」

周りを気遣っていつでも柔らかい雰囲気でいるところも。
軽く見えて、慎重な気遣いも。

優しい笑顔も……全部好きだった。今だって好きだ。

「特別になれなくてもいいって思うくらい、好きだったはずなのに……」

ぐっと奥歯をかみしめてうつむくと、少し間を空けたあと、宮地が「……うん」とあいづちを打つ。

落ち着いていて、なんでも受け入れてくれそうな優しい声色に、目をギュッとつぶりながら口を開いた。