「どんだけ自信があるのか知らないけど。俺は、例えアンタが裸で誘ってきても断る自信がある」

「え……」という、女の子の小さな声が落ちても、涼太は気にせず続ける。

「俺はこいつしか見てないし、アンタが他の男から見てどんなに魅力的な女だろうが関係ない。だから、振り向いてくれる他の男探せ。
俺は、どんなに言い寄られてもブレない自信があるから諦めろ」

容赦ない言葉だったけれど……紛れもない涼太の本音なんだろう。

女の子に向けている言葉だっていうのに、そこに私への気持ちも乗っていて、頬が熱を持っていた。
じわじわと、外気と同じくらいに身体が熱くなる。

女の子は不満そうにうつむいてから「でも、私の方が……っ」となにかを言いかけて、涼太に止められる。

「これ以上しつこく食い下がるなら、警察に相談する。ストーカーまでいかなくても、迷惑行為防止条例とか、それくらいには引っかかるだろうし」

「ストーカーって……私が?」

まさか、とでも言いたそうに半笑いで聞く女の子には、自分のしていることがどういうことなのかを分かっていないんだろう。

涼太を何度も待ち伏せして付け回しているって話だし、私の家にもきている。充分、法律に触れる行為だ。

涼太が真面目に言っていることがわかったからか、女の子の顔から次第に笑みが消え……そして、焦りのようなものが浮かんだのが見て取れた。

「だって、私はただ向井さんが好きなだけで……なのに、なんでストーカーとかそんな話に……」

「相手の迷惑考えずに自分の気持ち押し付け続けたら立派なストーカーだろ。……もう一度言っておく。もう俺やこいつの周りうろうろすんな。
痴漢から助けなければよかったとか、思いたくない」

ショックを受けた様子の女の子は呆然としてしまい、しばらくそのまま立ち尽くしていた。