「あー……大体わかった。どうせ、俺がおまえのことを好きだってバレて、それでってことだろ」
「……まぁ、うん」
照れくさくなり、目を逸らしてうなづいた。
涼太は告白以来、気持ちを隠そうとしなくなった。
それをむず痒く感じながらも、じっと涼太を見上げた。
「犯人がわかったから、もう迎えにこなくて大丈夫って言っただけで、涼太とのことを誰かに見られたら困るとか、そんなんじゃない……」
「――そうやって、また向井さんを繋ぎ止める気ですか?」
突如聞こえた声にハッとして視線を移すと、涼太のうしろ、数メートルのところに女の子の姿があった。
涼太が痴漢から救ったっていう……以前も私をここで、睨みつけてきた子が。
女の子の、キッと音が聞こえてきそうなほど強い眼差しに息を呑む。
涼太に目をくれることなく、私だけを見ていた。
「私、言いましたよね。向井さんを解放してあげてって……。それをなんですか? ハッキリしない態度しかとらないくせに、そうやって期待を持たせて繋ぎ止めて……他人の気持ちなんかどうでもいいって、そういう考え? 自分が気持ちよければそれでいいんですか?」
怒鳴られたわけじゃないのに、それくらいの印象を受けた。
絞り出されたような声に女の子の気持ちが溢れていて……いたたまれなくなる。
でも、逃げようとは思わなかった。
厳しい眼差しに、真っ直ぐに向き合う。