正直まゆみとの会話は上の空だった。私はりつこに会ってこのことを確かめなくてはと思った。しかし具体的な時間も場所も何も約束していなかった。ただ今日はりつこがすーちゃんと会って何かを話した。それを前もって教えてくれたりつこ。たぶん私が平塚に向かってることも察知しているであろうりつこ。

今までのりつこの取った行動を思い出して私はふと思うことがあった。なんの確証がある訳でもなかった。思えば秋田から長野に向かってる時に遠回りして来た時とは別ルートで秋田に帰ろうかとも言った。図らずも今その「遠回り」の最中じゃないか。すーちゃんとのことは別にしても平塚には行かなければいけない場所がある。しかしそれは私の想いであってりつこがそこに一人で行くとは限らない。

考えた挙げ句、やはりその場所に行くことにした。というよりは平塚に向かってる事自体、他に行く場所も思いつかないし、そこに行きなさいということなのだろう。私は敢えてりつこと連絡をとらないことにした。私たちの絆を試すのではなく、信じることにした。