「翔くーん?着替えられた?」

二階に上がり翔くんのドアの前で尋ねてみるも返事はない

「入るよ?」

そう言ってから入ると

翔くんは鏡を見ながら浴衣を見ていた

「…翔くん、何してるの?」

翔くんに声掛けると

驚いた顔で私を見ていた

「お前、勝手に入ってくんなよ」

「声かけたよ?」

私がそう言うと

「…ゴメン気づかなかった」

翔くんが寂しそうに言った

「で、何してたの?」

「あ、ああ。これ、ずいぶん前に母さんが買って貰ったやつなんだけど、普段着ないし、祭りにも着て行ったことないから、正直変じゃないかと思って」

あ、なるほど。要するに似合ってるか確認していたわけか

「大丈夫だよ。すごく似合ってるよ」

私が笑顔で言うと

「そ、そうか。それならよかった」

そっぽを向きながら言った

「あ、早く戻ろう?」

そう言って一階に行こうとすると

バシッ

え?

「雪菜、こっちいくぞ!」

翔くんが腕をつかみベランダに向かった

「ねぇ、なんでベランダに来たの?」

「梨華ちゃんが言ってたんだろ?ここでも花火が見れるって」

確かにそうだけど…

「それに伝えたいことがあったから」

伝えたいこと

翔くんの方を見ると真剣な目で私を見ていた

「雪菜…

俺…

…お前のことが好きだ」

「…え?」

「ガキの頃から…ずっと好きだった!」

う…そ。翔くんが私を好き?

いきなりの事で頭がついていかなかった

でも、その時の翔くんがなぜかかっこよく見えて胸が高鳴った

それから、いままで私が抱いてた感情を思い出してやっと気付いた

そっか私、翔くんが好きだったんだ

「俺と…付き合ってくれないか?」

翔くんにそういわれて私は

「翔くん、…私翔くんと再会をした時かっこいいなって思ったの。その後もいろんな翔くんの姿見てドキッとしたり、ピンチの時には翔くんのことが思い浮かんだりしてたの。それで気付いたの」

わたしは一呼吸置いて

「私も翔くんが好きだよ。」

「え?マジで?」

翔くんがすごく驚いていた

「うん。だから、私で良ければ…よろしくお願いします」

私は笑顔で言った

ギュッ

そのあと私は翔くんに抱き締められた

「翔くん?」

「やっと俺のになったんだ。離してって言っても離さねぇからな。覚悟しとけよ?」

「私だって絶対翔くんから離れないから」

私がそう言った瞬間

ヒュー

バァン!

花火が打ち上げられた

「わぁ……すごく綺麗‼」

「ああ。まるで祝福されてるみてぇだな」

「ふふっ。本当にそうかもね」

その後は抱き合いながら花火を見つめていた

「翔くん、大好きだよ」

この声は花火の音で遮られてしまった