ガヤガヤ ガヤガヤ

『遅くなってごめん!』

「お疲れー!」

『腹減った〜
 今日なに?』

「今日は〜亜紀(あき)ちゃんの肉じゃがと〜ゆみみんのサラダ〜、あとあと〜えりっちのモヤシの味噌汁でーす!」

『お〜、うまそ〜』

「ねぇ、蓮〜
 ちょっと遥海ちゃん借りるけど文句ないよね?」

『香澄(かすみ)さん文句あるわけないですよ』

「そぉ〜?ありがとう蓮!大好きだぞ!」

「ちょっと、香澄、俺のことは?」

「あ?誠也(せいや)はどうでもいい」

「ちょっと〜一応俺旦那!」

『誠也、俺は遥海しか好きじゃないから安心して』

「蓮・・・俺の味方はお前だけだ蓮!」

「れんー、飯こっちー」

『今行く!
 翼俺の用意しといて!』

「なんで俺が・・・
 分かったよ、用意しといてやるよ」

『さんきゅ!
 遥海』

「ん?」

『ちょっとこっち来て』

「うん?」

『ちょっと静かだな』

「どうしたの?」

『おいで』

「・・・うん」

『ごめんな、相当嫌がってただろ
 誰かを守る為には誰かを犠牲にしなきゃなんねぇ。
 その犠牲を最小限にするためには強引にでも遥海を城島に引きずり込まなきゃいけなかったんだ。
 多分、明日香澄達が遥海の洋服とか一式買いに連れ回すと思うけどさ、ちゃんとほしいのもは欲しいって言えな
 遠慮してたら由月(ゆづき)が怒るから』

「遠慮すると怒るなんて面白いね」

『ここにいる奴らは色々経験してきてるからな』

「ちょっとれん!
 遥海ちゃんの事連れてかないでよ!」

『来たw
 遥海こっち向いて』

「ん?」

 チュッ

「れんー!れっ!」

 チュッ

『香澄さん・・・久しぶりにいちゃいちゃしてるので、あんま見ないでください・・・』

「神谷の男どもは何でこう、キス魔ばっかなんだ・・・ 夕飯になるから早く来なよ!」

『はーい
 じゃぁ行こっか』

「うん・・・」

***

『翼!』

「どうした?」

『飯食ったからバスケしよ!』

「まじかよ・・・
 なんでそんな元気なの」

『腹満たされたから?』

「飯の力すげー」

『やろ!』

「おう、んじゃあやるかー」

「蓮ーーー!」

『冬弥どうした?』

「蓮に電話!
 女の人!」

『おう!今行く!』

「俺も付いてく
 んでついでに便所」

『おう』

 誰だろ

 城島の電話にかけてくるやつ

『冬弥かわる』

「俺行ってくる」

『おう
 もしもし、御電話かわりました』

〔あなたが、蓮君ね!
 こんばんは!七彩 美知瑠よ!〕

 あー、来た

 関わりたく無かった

 誰かにこうやって名前言われて1回や2回話したって存在すら忘れる俺が唯一、興味のない奴の名前を覚える機会

 別の組のやつかもしくは、俺が最も関わりたくないと思った奴

『どうも、始めまして
 遥海さんにはお世話になっています。』

「蓮戻っ・・・」

 翼、皆を集めろ

〔いいえ〜
 実はね、お願いしたいことがあって電話したの!〕

『なんでしょうか』

〔あのね、蓮くんと仲良くしたいなぁ〜なんてっ!
 ダメかしら・・・〕

『良いですよ』

〔本当に!
 ありがとぉ〜
 じゃぁ、明日から学校にお迎えに行くわね!〕

『分かりました。
 宜しくお願いします。』

〔えぇ!
 今日はもう遅いからこれで失礼するわね!
 また明日!〕

『はい、また明日』

 ツーツーツー

 お前が俺の学校に来れればな

『クスッ』
 +++翼side+++

「クスッ」

 なんで今笑った

 あの時の蓮と重なる

[お前さぁ、なにやってんの?
死ね?自分のストレス発散に弱い人間捕まえて暴力振るうとか、ふざけてんのか?くそガキ]

 今の蓮は怖い

 自分が、蓮の近くに居られるのは実力じゃねぇ

 蓮が遠い

 蓮がどんどん離れてく

 蓮の中で俺は、どんな立ち位置に居るんだろうな

「翼!」

『んぁ?どうした?』

「・・・翼
 お前、今なに考えてる」

『は?なにって?』

「翼、今自分がどんな顔してるか分かってんのか」

『どんな顔・・・』

「何かあんだったら言え
 お前今、俺と最初に会ったときと同じ顔してんぞ」

『俺、が?
 そんな顔してる?』

「あぁ」

『蓮だって、いつもと違う
俺がどんな顔してても、蓮には関係ないじゃん』

 俺何言ってんだ

「・・・あっそ
 んなら、俺はお前と行動する事やめるよ
 関係ないって言うなら良い
 すぐに、会議始める
 遅れんなよ」

『わかった』

 クソッ!

 関係ないなんて言って自分が1番近くに居たいと思った奴となんで離れること選んでんだよ!

 俺は、何がしたいんだよ

 ---翼sideend---
 翼が俺に関係ないと言うならそれでいい

 わざわざ、首を突っ込む理由も無い

 けど、俺は結構翼好きなんだけどな

「どういう事ですか!蓮さん!」

『何が?』

「翼さんのことですよ!」

『ごめん、話が見えない
 なぁ、智』

「なんですか!」

『俺って何か間違ってる?
 翼が関係ないって言ったってことは首を突っ込むなって事じゃないの?』

「蓮さんって、周り見えてるくせに自分のことは何も分かってないんですね!
 そんなんじゃ、翼さんの思ってる事なんて一生分かんないですよ!
 失礼します!」

 ・・・結局なんなんだ

「智は蓮が翼から離れて大丈夫なのかって言いたいんじゃない?」

『彪我・・・』

「話すの久しぶりだね、蓮」

『おう』

 コイツは東條 彪我(とうじょう ひゅうが)
 俺がふらふらしてたときに付いてきた1人

「最近、ぜーんぜん俺に構ってくれないから拗ねちゃうとこだったよ」

『俺が来たときにさぼってどっかで寝てるからだよ』

「あ~、確かに。
 蓮が来たときに隅っこで寝てたかも」

『まぁ、彪我の面白いとこってそういうところもあるからな』

「最近サボりすぎて遥海ちゃんの事お世話する係に選ばれちゃったからね
 俺を世話係にしたの蓮でしょ?
 俺、ああ言う純粋な子襲いたくなっちゃうよ?」

『だからだろ。
 彪我、獲物は自分で壊さないと気が済まないたちだから誰か知らないやつが近づいてきたら死守するだろ?』

「まぁ、そうだけど・・・
 でも俺が襲っちゃったらどうするのさ」

『襲わねぇだろ
 襲ったら俺が彪我に噛み付くこと見えてんだろ?
 そんな面倒なこと彪我はしねぇよ』

「あっはは!
 確かに」

『彪我はどう思う?』

「翼のこと?
 そうだなぁ〜」

『俺はどうしたらいいのかわかんねぇ』

「蓮が分かんないなら俺も分かんない」

『どういう意味?』

「蓮って気持ち悪いほどに周り見えてるからその蓮すら分かんないこと折れに分かるわけないよ」

『気持ち悪いって・・・』

「まぁ、そんな感じ
 じゃぁ俺は、部屋戻るね〜」

 俺も今日は寝よ

 明日から忙しくなりそうだし
 +++彪我side+++

『つーばーさっ!
 元気やってる?』

「全然・・・」

『翼は何に悩んでるの?』

「蓮の事」

『翼は頭の中の8割は蓮のことだよね!』

「そんなことあるわけねぇ」

『それなら、最近何悩んだ?』

「・・・どうやってバスケ勝つかとかその日の予定とか仕事内容をどうやって簡潔に分かりやすく伝えるかとかだな」

『3個中2個蓮の事だよ』

「これはなんかの間違いだ!!」

『じゃぁなんで今蓮の事悩んでるの?
 翼が蓮に関係ないって言ったって事は首突っ込むなって事だって言って自分の中から翼っていう存在を近くにいる人から遠くにいる人って言うふうに、気持ちの切り替え始めてるよ
 翼は、蓮にどうしてほしいの?』

「俺は・・・」

『蓮、明日から遥海のお母さんと一緒に居るんだって
 学校終わってからずっと』

「そんなの聞いてない!」

『翼には出掛けるって言っといてってさっき皆に言ってた
 翼はどうするの?
 蓮は一人で全部片付ける気だよ
 この件が終わったら今いる学校から出て、進学校の扇柴高等学校に行くらしいし、早くしないと積み上げてきた物全部失う事になるよ』

 そう、全部失う

 俺が家も家族も全部失ったあの時みたいに

 ---彪我sideend---
「蓮くーん!」

『すみません、遅くなりました。
 迎え、ありがとうございます』

「いいえ〜、さっ乗って!
 ドライブしましょ!」

『はい』

 香水・・・臭い

 鼻ちぎれる

 エアコンから出る風も強烈

「今日はあんまり時間無さそうだから近くのカフェ行きましょ!」

『はい、お好きなんですか?
 カフェ』

「好きよ!よく行くからカロリー気にしてないとすぐ太っちゃって大変よ」

『そうなんですか』

 そんな会話をして30分
 
 ひっそりとたたずむカフェに来た

 時間は午後6時

 その後1時間ぐらいそのカフェで話をして城島の近くのコンビニについたのが午後8時

『こっから歩くのか』

「蓮さんおかえり!」

『智・・・ただいま』

「けっこう疲れてますね、城島までおんぶしましょうか?」

『いやいいよ、智はどうしたんだ?』

「今日は週に1回の買いだめの日で色んなお店を回った帰りです!
 あっ、蓮さんなにか食べます?
 チョコとかアメとかお煎餅もありますよ!」

『いや、大丈夫
 ありがとな』

「いえ!食べたくなったらいつでも言ってください!
 買って2日ぐらいならそこそこ残ってると思うのでぜひ!」

『んじゃあそのうち食いに行くわ』

「はい!お待ちしてます!
 着きましたね!今開けます!」

『こっちからって開けられんの』

「もちろんです!外出するときはカードキーを持っていくんです。万が一なくしてもGPSがあるのですぐに落とした場所が分かるので便利です!
 まぁでも、落としたりすると光翔さんに怒られますけどね・・・」

『怖そっ』

「ただいま〜」

「さとるんおかえり!
 蓮もおかえり〜!」

 なんで千夜いんの

「千夜お菓子食べる?」

「食べる〜!」

『彪我、なんで千夜がいるの』

「千夜だけじゃないよ」

「よう!久しぶり!
 最近、疲れてそうだったから遊びに来てやったぞ!」

『うわっ・・・夏梅なんでそんな元気なの・・・』

「そりゃぁ〜なぁ〜?」

「今日、夏梅の誕生日なんだよ。
 おかげで、うるさくてうるさくてうるさくてうるさくてそれで蓮に押し付けようと思って城島に来たの」

「涼浪!押し付けるって酷すぎるぞ!」

「あ〜はいはい
 押し付けるんじゃなくて任せるね」

『わりぃ、今日俺疲れてんだ。
 夏梅、来週の土曜、予定開けとくからどっか出かけるか。』

「マジで!誕プレ買ってくれんの〜?」

『あぁ、好きなもん言えよ』

「よっっっっっしゃぁぁぁ!!!!」

「蓮」

『んぁ?なに?』

「話あるんだけど」

『おー、じゃぁ俺の部屋行くか』

「さんきゅ」
『んで、どうした?』

「遥海ちゃんのことなんだけど」

『おー、最近どう?
 っつっても昨日今日の話だけど』

「蓮、遥海ちゃんのことちゃんとかまってあげてる?」

『いや、あんまり』

「泣いてるよ
 行ってあげてよ
 おれじゃ何もできないから」

『あぁ〜、そうしたいんだけどさ
 今俺クセぇんだよ』

「は?」

『匂い嗅いでみろ』

「うぇ〜、くっさ〜」

『これで行ったら更に泣くだろ』

「確かに・・・」

『今週だ』

「今週?」

『今いる奴らに伝えろ
 今週終わらせる』

「まじで言ってる?」

『当たり前だ
 これが終わったら全員に休暇を取らせる
 その分の給料はきっかり払う』

「ほんとに、いいんだね」

『あぁ』

「分かった、伝えておく
 光翔さんが、心配してたから後で連絡して」

『おう、じゃぁ寝る
 遥海の事は任せた』

「ほーい」

 風呂入って仕事しねぇと

『はぁー』

 疲れた・・・

 今日が月曜・・・明日、明後日・・・

 土曜だな

+++翼side+++

 わかってはいた事だけど、蓮の避ける能力が高い

 学校で会うのは授業の時だけだし、城島じゃ全く会わない

 仕事、忙しいんだろうな・・・

 なんで俺あんな事言ったんだ

『バカみてぇ』

「ほんとバカだよね」

『彪我!』

「やっほー
 一人で浸ってるとこ悪いんだけどさ、蓮からの指示出さなきゃいけないから、広間に集まってもらえない?
 それだけ」

 指示・・・

 ガヤガヤ

「翼来たー!
 遅いよー!」

『悪い、千夜』

「それじゃぁ、蓮からの指示をだすよー」

 彪我が前に立つなんて珍しい

「えーっと、蓮は今週終わらせると言っているので各自先日の会議で決めた役割で作業をやってって言ってました。以上でーす。」

 みじかいな

「皆動くの早いね翼」

『あぁ、うちの組は皆が蓮の事信じてるからな
 千夜は蓮の事信用してねぇの?』

「信じる信じないってよりどんな無茶なことでもちゃんとできる事を頼んでくるから面白くてやりたいって思うよ
 それに、蓮ってさ!頭いいくせに、バカだから付き合いやすい!」

『そんな理由かよw』

「そんな理由だからどんな蓮でも理解できる。
多少、狂ってても・・・付いてくつもりだよ。
俺は。」
千夜の覚悟ってすげーな

何やってんだろ俺

「はいはーい、自己険悪はそこまで~
仕事して!」


***翌日***

「今日、光翔さんに頼んで奴等を城島に入れることになった。あくまでも、客として呼ぶけど奴等はそうじゃない。いつ仕掛けられてもいいように気ぃ張っとけ。
それと、俺は客との話しはしない。光翔さんに全部任せてある。俺はただのガキとして扱え。いいか?」

「うっす」

「蓮さん俺達はどうすればいいっすか?」

「いつも通りでいい。各々好きにしてればいい。」

『れっ』

「今日の連絡はここまで。後は宜しくな。」

『ぉっす』

バタン

ガヤガヤ

「今日の蓮さんはいつにもましてピリピリしてたね~
そう思わない?翼ー」

『あぁ、千代帝王に伝えにいかなくて良いのか?』

「・・・いくない!」

バタバタバタバタ

はぁ・・・俺も用意するか

---翼sideend---