「蓮、私蓮の事大好き
 だから、蓮の事もっと知りたい」
『うん、いいよ
 じゃぁ、遥海は何が知りたい?』
「さっきの、話し・・・聞きたい」
『あー
 どっから話せばいっかな』
 あいつの話が聞きたいって来ると思わなかった
 もし、この話の全部が俺の口からだけで伝え切れなかったらどうすればいいんだろう
 俺のせいで、あいつが殺されて、それで俺が壊れたなんて、どうやって説明すればいいんだよ・・・
「蓮、あのね、私が聞きたいって思っただけだから、話せるとき、ゆっくり教えて?」
『おう、俺さまぁ親が元不良だし近くにいるや奴らヤクザとか訳ありとかでさいつでも周りの奴らが一人にしないようにって気ぃ使ってくれてたんだよね
 それで町出てそこら中ふらふらして助け求めてる奴とか拾って歩いてたんだ
 正確には俺を心配した人達がみんな訳ありで迷子になったふりした俺を城島組に連れて行ってもらった
 連れて行ってくれた人たちは少しでも良いから力が欲しいって思ってる人が殆どだから光翔さんがその人を見て、いいと思ったら城島組に入らないかって言ってたんだ』
『そこで、城島組に入らなければ一生関わらない
 入れば力が手に入る
 みんな最初は戸惑うけど、覚悟決めて城島組に入る人もいれば断った人もいた
 入った中の1人俺が最後に認めた奴は他の組の構成員で、城島組を潰すためだけに入ってきた奴がいた
 そいつは最初こそ城島組の訓練も役割もまともにこなせなくて毎日必死こいて周りの組員について行こうとしてた
 もちろん、城島組は実力主義だから強くて頭の切れるやつらが上へ上へとのし上がる事ができる
 だから毎日必死こいてやってたあいつは強くなって俺と行動を共にすることも多くなった
 けど、あいつはあくまでも他の組の構成員
 頭の切れるやつらがいる城島ではずっと嘘を貫くことは不可能な話だった
 上へ行けば信頼されて情報を手に入れるのは簡単な事、けど情報を扱うにあたって最も重要な事、それは身元の保証
 けどあいつは他の組の構成員、身元の保証がされなかったんだ
 だから光翔さんはあいつを呼び出してその組を裏切るか城島に入るかを決めさせた』
『あいつは、不正やって他の組を潰すより実力でのし上がる城島を選んだ
 多分、あいつがいた組の奴らはあいつならばれて殺されても問題ないと思ったんだろう
 けど殺されるどころか自分の組を裏切った
 向こうの組は裏切ったあいつを殺した
 もしあいつが城島の情報を漏らしていなかったらあいつは殺されなかった
 けどあいつは、城島の屋敷のデータを漏らしていたことによって自らの命を落とすことになったんだ
 その時、あいつが屋敷のデータを漏らしたことを伝えていれば城島はあいつを守れた
 それなのに、あいつは言わずに殺された
 俺が、あいつを城島に誘わなければ光翔さんもあいつも傷つけなくてすんだかもしれないんだ』

 遥海・・・?

「ごめっ…!」

 ぎゅ

『なんで泣いてるの?』

「わかん……ない、けど勝手に……」

『遥海、大丈夫だよ
 そんなに泣かないで?
 よしよし よしよし』
 +++遥海side+++

 蓮がもしあのお母さんとお父さんから生まれてなかったら全く別のストーリーがあったかもしれない

 でも蓮は今翼くんとか光翔さんとかお父さん、お母さん色んな人に愛されてる

 もちろん私も蓮が好き

 でも私は、あの母親がいなければと何回思ったのだろう

 自己中心的で嫌なことがあると私に暴力を奮って、結局今はもうどこに居るかもわからない

 あの時、私に力があったら逆らえたのかな

 私が生まれなければこんなことにはならなかったのかな

 蓮お願い

 あたしを捨てないで

「遥海、もっとこっちおいで
 俺の膝の上のって」

『うん・・・』

「あのさ、遥海に何があったかはまだ聞かないけど、もし俺が何かできるんだったら口で言えなくても何か助けてってサイン出して
 苦しいのを我慢することないから」

『ありがとう』

 あぁ、誰かがこうやって私を抱きしめていてくれるのはいつまでなんだろう

 きっとすぐに私から全てを奪いに母親がやってくる

 ---遥海sideend---
 キーンコーンカーンコーン

『遥海!ご飯!』

 ”きゃぁ~!”

「蓮、迎えに来なくていいのに・・・」

『いいじゃん!
 ほら行こっ!』

「蓮おせぇよ」

『わりぃのー』

 バシッ

『痛っ
 翼このやろう!』

「蓮・・・」

『お?』

「周りの女の子がきゃぁきゃぁ言ってる」

『気にしないで良いよ』

「うん・・・」

『どーしても気になる?』

「ごめん」

『じゃぁ遥海こっち向いて』

「なんで?」

『良いから』

 ちゅっ

「・・・///」

『気にならなくなったでしょ?』

"いやぁぁぁぁぁぁぁ!"

 ガツン

『いてっ』

「お前は、場所考えろ」

『(翼のバーカ)』

「今失礼な事言ったろ
 聞こえてんだよ」

『げっ』

「げっじゃねぇ」

 最近、遥海に対しての女子からの目線が増えた

 羨ましいとかじゃなく、目障りだと言うような視線
 多分、遥海も気づいてる

 教室が別だから、何かされていても俺が気づける範囲は視線だけ

 あいつ等の力借りっか
『翼、あいつ等に電話してこっちに転校できるか聞いてみて
 理事長朔斗さんだからもしこっちに来れるって言ってたら俺が話し通しに行く
 こっちの入学手続きは翼に任せる』

「オッケー、んじゃ遥海ちゃんまたねぇ~」

「う、うん」

『遥海、多分近々遥海のクラスに男5人転入してくると思うけど、仲良くしてやってな』

「?」

『すぐに分かるよ』

 遥海には隠し事したくない

 けど、今回の件は絶対に遥海に何かおこる

『ご飯食べよっか!』

「うん!」

 苦しんでる人を助けることは俺だけの力じゃ出来ない

 あいつもそうだった

 俺だけで解決しようとすると必ず誰かが犠牲になる

 けど、その犠牲を少しでも減らせるなら俺はなんだってするし俺が犠牲になることも躊躇わない

 それでもなにかを犠牲にしなければならないとしたら俺はどうするんだろう
 +++翼side+++

 蓮、またなんか感じてんなー

 そう思っても聞けねぇ俺情けない

 あいつ等を使うってことは遥海に関係することは目に見えて分かる

 多分、遥海の家のことだろう

 蓮は遥海から直接聞こうと無理には聞き出そうとしたりしない

 けど、俺達城島の人間はそうもいかない

 あいつの身に何かあれば冷奈さんを含め、城島組、帝王、星蓮隊(せいれんたい)、KIRIYAグループが総崩れする

 表向きは光翔さんや冷奈さん、玲音さん達が指揮を取ってるように見える

 けど、裏では神谷 蓮と言う一人の人間が指揮者となって全体を動かしている

 通常業務は玲音さんや一般社員、城島組、星蓮隊、その他KIRIYAグループ

 けど、会社にとって重要な書類の管理、他社との提携などは蓮一人でやってる

 今までKIRIYAが経営を上手くやっていけたのは蓮のちからもある

 蓮が経営学に手を付け始めたのは小学校4年

 本格的にKIRIYAを動かし始めたのは中学1年

 KIRIYAが経営の軌道に乗ったのが創立3年目、蓮が4歳のときだ

 そんな蓮を失ったらおそらく失うものが多すぎる

 だから遥海の事を調べ無いと言う選択肢は無く家族の事も遥海の交友関係も俺達はしってる

 プルッ プルッ p

『よう、久しぶり』

 ---翼sideend---
 キーンコーンカーンコーン

 昼休み終わった

 翼まだかな

「蓮、あいつ等お前に会いたいからって明日にはこっち来るって」

『おう、さんきゅ』

 これでなんかあっても大丈夫かな


 ***翌日***

”きゃぁーー!!!

 なんで帝王がこの学校に!!!”

「相変わらず帝王の顔面偏差値たっけーな」

 バンッ

「蓮来たよ!」

『おー、久しぶり夏梅(なつめ)!
 っつかお前ら理事長室は行ってねぇのかよ』

「総長も夏梅達も蓮の方が先だ!って言って聞かないから先こっち来た」

「だってさ蓮君
 よくおもてになることで」

『翼、男の嫉妬は醜いぞ
 んで?肝心の総長はどうしたんだ?
 いつもなら涼浪(すずなみ)お前が連れてくるだろ』

「嫉妬じゃねぇ!
 からかってるだけだ!」

「蓮さんの方が一枚上手だったね、翼」

「うるせぇ!
 って秀人(しゅうと)じゃん」

「それなら後ろに」

「あぁァァァ、大貴(だいき)言っちゃだめじゃん!
 せっかく蓮の事驚かそうとしてたのに〜」

『千夜(ちよ)そこにいたんだ』

「うん!蓮の事、驚かすの失敗したけどあえて良かった〜!」

「分かったから、千夜は蓮から離れろ」

「え〜、いいじゃん久しぶりなんだから〜」

『千夜、俺もついてくから一緒に理事長室行くぞ』

「わーい!やったー!」
 +++遥海side+++

「3限始める前に転校生居るから入ってこーい」

 ガラガラ

「はーい!」

「5人一気に自己紹介すんのめんどいから千夜やって」

「ホイホイ
 どーも、秋橋 千夜(あきはし ちよ)で~す
 んで隣にいるのが東條 夏梅(とうじょう なつめ) 隣が遠藤 秀人(えんどう しゅうと)、松澤 大貴(まつざわ だいき)、倉本 涼浪(くらもと すずなみ)でーす」

「お前らの席は・・・」

「あー、いたいた
 あの子の席の周りにしてください」

「あの子?
 七彩か、おういいぞ~」

 えぇぇぇ

 先生なんでそう簡単にオッケーしちゃうの・・・

「宜しくね、遥海ちゃん」

『えっ、あっ、よっ宜しくお願いします倉本さん』

 綺麗な顔・・・

「へぇ~、これが蓮のこ?」

「こら夏梅、遥海ちゃん怖がってる」

「あぁ、ごめん
 結構可愛いいね、後で蓮からかいにいこーっと」

「遥海ちゃんごめんね〜
 いきなりこんな無礼な奴ばっかりで、さっきもあったけど、俺は遠藤 秀人だよ」

『どっどうも』

「俺達、蓮に言われて来たんだ
 君、イジメられてるでしょ?」

『うっ、あ』

「千夜もストレートすぎ」

「だってだって蓮の好きになった子だよ〜?
 ちゃんと守ってあげなきゃじゃん
 ね?ナツ」

「おう」

「あんたのこと、俺達はしってる
 家庭環境も生い立ちも、ただ俺達は蓮さんに頼まれてあんたを守りに来ただけだ
 蓮さんに言われなきゃ俺達はあんたなんて正直どうでもいい
 くれぐれも、勝手な行動はするな
 あんたの生活を四六時中監視する訳じゃないからプライベートは守られる」

「ちょっと大貴、言い過ぎじゃ・・・」

「秀人は違うの?
 また我慢することになるかもしれないんだよ?」

「それはそうだけど・・・」

『あの』

「「「「「何?」」」」」

『嫌なら守らなくていいです
 蓮には私から言います』

「お前に・・・
 お前に何ができんの?
 お前は嫌いだと言って蓮を傷つけたあげく今度は付き合って、交戦の時拉致られて城島に迷惑をかけた
 今度は蓮が勝手にやったことって言えば済むと思ってんのか知らんが、蓮はお前の身をあんじて俺達に頭を下げてまでお前の事を守ろうとしてる
 嫌なら守らなくていい、それならそうでいいよ
 俺達から蓮に伝える
 けど、その代わりお前がどんな酷い目にあっても、助けないよ
 蓮が何を言ってもね」

「そうだねぇ、こっちにも色々事情あるしね
 さっきの会話で不快にさせちゃったのならごめんね
 大貴が言った蓮が何を言ってもって言うのを簡単にしちゃえば酷い目にあってる遥海ちゃんを助けに行くのを俺達は蓮を監禁してでも助けないって事だから、今後発言には気をつけたほうが良いよ
 こんな感じでいい?千夜」

「良いんじゃない?
 この事は大貴と夏梅に任せるよ
 ねぇ、遥海ちゃん
 俺達は蓮が苦しまないようにしてるだけだから、自分のためって思わないでね」

 ゾクッ

 この人が怖い、いやこの人がじゃない

 この人達が怖い

 この人達にとって蓮がどんな存在なのかは知らない

 けど、この人達にとって蓮って言う存在はとっても大きい存在なんだ

 怒らせちゃいけない、絶対に

 ---遥海sideend---