付き合ってから数ヶ月たった
「蓮~!」
『どうしたの母さん』
「実は、いつになるかは分かんないけど、組同士の争いがあるの
だからね・・・ちょっとだけ手貸してほしいんだ?
遥海ちゃんのこともあるから、嫌なら断って?」
『相手は?』
「ざっと6900ってとこだな」
『父さん、おかえり』
「おう、ただいま」
「玲音おかえり」
チュッ
「ただいま」
俺が無性に遥海とキスしたくなるのはこの人のせいかもしれない・・・
「どぉ、かなぁ」
『・・・分かった、引き受ける』
「ありがとう!朔斗も来るたちも来るから、またいっしょに飲も!」
『母さん、俺未成年』
「あ、いけない
そうだった」
まぁ、母さんらしいな
こんときかな、俺が間違ったの・・・
俺が・・・遥海を傷つける事になるなんてな・・・
バタバタ ドンッ ガンッ
「おい!蓮!俺の手伝え!」
「蓮!こっち終わってない!」
交戦前日、城島組は慌ただしく動き回る
それに俺が参加するって知った奴等は俺を使って作業をする
『霧、一通り全部終わった』
「おう、わりぃな」
『いいよ、いつもバスケ付き合ってくれるからそのお礼』
「なるほど、蓮とバスケすると手伝ってくれるのか・・・」
「おい、とーや・・・
お前はまず自分の仕事終らせてから言え!」
「ひっでーの、たまにはいいじゃん」
「アホか」
「時間だ!来るぞ!」
そう、光翔さんが言う
その瞬間、空気が変わる
騒がしかった奴らは全ての作業を終え、神経を張り巡らせて敵の奇襲を待つ
バンッ!
「風宮組だ!予告どおりお前らの首を、討ち取りに来たぞ!」
その言葉を合図に
抗争が始まる
バキッ
俺は、敵を倒しながら考える
風宮という名字をどこかで聞いた気がする
残るはトップだけ
「ねぇ、そこに居る黒髪の少年君
この子知ってるぅ~?」
スマホに写ってる写真には、遥海が居る
遥海?嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!
嘘だ!
『なん、で』
「君がさ、うちの息子に恥かかせたこと覚えてないの?」
『あの時、、、の、、、!』
「思い出してくれた?」
『ふざけんな!
あいつは関係ねぇだろうが!!』
「しょうがないよねぇ〜
君がさ、俺の息子に恥かかせなきゃこんなことなって無かったんだからさぁ〜
どうする?
早く行かないと、君のお姫様は酷いことされちゃうかもね」
『光翔』
「うぇ?なにぃ?」
『今すぐ遥海の居場所探して
見つかったら助けて
俺は、こいつらを“打ちのめす”』
「おっけぃ!
おぇめぇ等!!蓮の指示だ!
手分けして探せ!」
"りょーかいしやした!
行くぞ!"
ボコッ
バキッ
一人一人に時間なんてかけてられない
早く行かないと、遥海が
ここに残ったのは俺と母さんと父さん、光翔さん達元帝王幹部以上の人達
俺以外はみんな強いから素早く重い拳が相手に入る
みんなみたいに・・・みんなみたいに・・・!!
「おいっ・・・お前・・・俺は、俺はお前なんかより強い、お前なんか風宮組頭の俺が!ぅぐっ」
『うるせーんだよ、じじい
老いぼれに、用ねぇんだわ』
バタンッ
「蓮、お前」
「蓮さん!居ました!
多少の傷はありますが、無事です!
会いにいk・・・」
良かった・・・
そう思った途端睡魔が襲ってきて、その後の記憶が・・・ない
数週間後
『んっ・・・』
「起きた!!!」
『あ、れ・・・』
「蓮、よくねてたな」
『裕飛さん・・・
遥海は!?』
「大丈夫だよ!」
『良かった・・・』
「にしても蓮、凄かったね!」
「緋七・・・」
『何が、ですか?』
「覚えてないの?
蓮、一人で全部終わらせたんだよ」
『そんな事ありませんよ
俺、母さん達みたく強くないですし』
「蓮、ほんとの話だ」
『朔斗さん、どういう事ですか?』
「あんときお前は一人で風宮の奴等を一撃で致命傷与えて気絶させた
中には、血を吐き出す奴らも少なからずいた
それだけ、お前は強いんだよ
まだ、引きずってんのか?」
『そりゃ、引きずりますよ
俺が引き込んだ奴が別の組織と繋がってて、そっから抜けようとして殺されたなんて、光翔さんにもあいつにも頭あがんないっす』
「まぁな、でも光翔が認めたんだ
それだけ蓮には見る目がある
そんなに背負い込まなくて良いんじゃねぇか?」
『でも!』
「俺は?俺はお前が居なかったら光翔さん達に会えなかった
それに、お前が殺されそうだった俺に生きる価値を与えてくれた
それに嘘偽りが合ったんなら俺は今ここにいねぇよ」
『翼・・・』
そっか、翼ってそういう奴だった
馬鹿だな
『でも、俺のせいで遥海を危険なめにあわせた
遥海が一緒に居てくれるかわかんねぇ』
「それは全然心配ないよ」
「蓮・・・」
『なんで・・・』
「蓮が寝てるあいだ、毎日毎日ここに通ってた」
「良かった・・・蓮、起きないのかと思った
でも、起きてよかった…ぅッ」
『遥海、こっちおいで』
「蓮、蓮、蓮!!」
『心配かけてごめんな
それと怖い思いさせたのに嫌いにならないでくれてありがとう
好きだよ、遥海』チュッ
「私も、蓮のこと好き!」
「じゃぁ、俺達は邪魔そうだから出てくよ
遥海ちゃん蓮の事よろしくね」
「こちらこそお願いします!」
「蓮、私蓮の事大好き
だから、蓮の事もっと知りたい」
『うん、いいよ
じゃぁ、遥海は何が知りたい?』
「さっきの、話し・・・聞きたい」
『あー
どっから話せばいっかな』
あいつの話が聞きたいって来ると思わなかった
もし、この話の全部が俺の口からだけで伝え切れなかったらどうすればいいんだろう
俺のせいで、あいつが殺されて、それで俺が壊れたなんて、どうやって説明すればいいんだよ・・・
「蓮、あのね、私が聞きたいって思っただけだから、話せるとき、ゆっくり教えて?」
『おう、俺さまぁ親が元不良だし近くにいるや奴らヤクザとか訳ありとかでさいつでも周りの奴らが一人にしないようにって気ぃ使ってくれてたんだよね
それで町出てそこら中ふらふらして助け求めてる奴とか拾って歩いてたんだ
正確には俺を心配した人達がみんな訳ありで迷子になったふりした俺を城島組に連れて行ってもらった
連れて行ってくれた人たちは少しでも良いから力が欲しいって思ってる人が殆どだから光翔さんがその人を見て、いいと思ったら城島組に入らないかって言ってたんだ』
『そこで、城島組に入らなければ一生関わらない
入れば力が手に入る
みんな最初は戸惑うけど、覚悟決めて城島組に入る人もいれば断った人もいた
入った中の1人俺が最後に認めた奴は他の組の構成員で、城島組を潰すためだけに入ってきた奴がいた
そいつは最初こそ城島組の訓練も役割もまともにこなせなくて毎日必死こいて周りの組員について行こうとしてた
もちろん、城島組は実力主義だから強くて頭の切れるやつらが上へ上へとのし上がる事ができる
だから毎日必死こいてやってたあいつは強くなって俺と行動を共にすることも多くなった
けど、あいつはあくまでも他の組の構成員
頭の切れるやつらがいる城島ではずっと嘘を貫くことは不可能な話だった
上へ行けば信頼されて情報を手に入れるのは簡単な事、けど情報を扱うにあたって最も重要な事、それは身元の保証
けどあいつは他の組の構成員、身元の保証がされなかったんだ
だから光翔さんはあいつを呼び出してその組を裏切るか城島に入るかを決めさせた』
『あいつは、不正やって他の組を潰すより実力でのし上がる城島を選んだ
多分、あいつがいた組の奴らはあいつならばれて殺されても問題ないと思ったんだろう
けど殺されるどころか自分の組を裏切った
向こうの組は裏切ったあいつを殺した
もしあいつが城島の情報を漏らしていなかったらあいつは殺されなかった
けどあいつは、城島の屋敷のデータを漏らしていたことによって自らの命を落とすことになったんだ
その時、あいつが屋敷のデータを漏らしたことを伝えていれば城島はあいつを守れた
それなのに、あいつは言わずに殺された
俺が、あいつを城島に誘わなければ光翔さんもあいつも傷つけなくてすんだかもしれないんだ』
遥海・・・?
「ごめっ…!」
ぎゅ
『なんで泣いてるの?』
「わかん……ない、けど勝手に……」
『遥海、大丈夫だよ
そんなに泣かないで?
よしよし よしよし』