「ッ戻ってきました!!」

そんな報せが飛んできたのは、平沢たちが出て行って3時間後だった。

報せを運んできた暁の言葉に、待っていた組員たちは一斉に立ち上がる。そんな中でも1番に部屋を飛び出した俺は、まっすぐ玄関へと足を進めた。

琴音は無事なのか。平沢は、信洋は…。

顔を見るまで安心できない俺の不安はもう限界で、暁の言葉すら耳に入らなかった。

「お前ら退け!琴音を寝かすのが先だ!!」

「医者は!?すぐに呼んで来て!」

平沢と信洋の声が耳に届く。その言葉に嫌な予感が頭をかすめ、残りの距離を一気進もうとしたが、次の瞬間琴音を抱えた平沢が駆け抜けていく。

思わず足を止めた俺に構わず進んだ平沢は医者を待機させている琴音の部屋に迷わず入って行った。

その後を慌てて追うと、平沢は医者の指示に従い琴音を布団に寝かせているところだった。

「平沢、琴音は」

「安心しろ。ちょっとばかし無理に運んだせいで酸欠気味になってるだけだ」

「何かあったのか」

「それは後でまとめて報告する」