ダメだ。これ以上はただの推測に過ぎない。

その“事実”にたどり着くには、ここでの情報だけでは足りなさすぎる。

調べなくてはいけない。ここちゃんの過去を、この事件の全容を。

「戻りましょう、平沢さん。ここでこれ以上の収穫は無理です」

「…本当にそうか?俺にはまだ気になることがある」

平沢さんの鋭い視線に息を飲む。この人は、まだ俺が見えない、視線を向けていないところまで見つめている。

平沢さんの行動に注視していると、焼け焦げた建物の残骸を睨んでいた。

「中野蓮美はたった2日であれほどの戦力を集めた。しかも、金の力を使ってだ。奴らを解放したとき、奴らは一文無しだった。それに、関原が関わっていた場所は全て俺たちが改めただろう。この場所だって例外ではなかった」

「奴らの金の入手ルート。確かに分からないですね」

「それだけじゃねぇ。これほどの人数を集めるのにスカウトだっている。だが、中野蓮美は、この場所から動かなかった」

「…」