でも、奏多さんは無言のままで、私から声をかけることも出来ず沈黙が落ちる。

怒ってるんだ。私が言いつけを破ったから…。

でも、これは自分で選んだ結果。全て受け入れる覚悟で奏多さんの言葉を待った。

「…」

「…」

…。

……。

………?

い、いつまで待ってればいいんだろう。

一言も発さないままの奏多さんを見ても、何と言うような顔をするだけ。

怒ってない?いや、それはありえないだろう。ならどうしてなにも話さないんだろう。

いつまで経っても変わらない状況に恐る恐る口を開こうとしたその時、突如背後の襖が開け放たれ、その音に文字通り飛び上がった。

い、嫌な予感。背後から感じる圧力に振り返る勇気が持てない。

カタカタ震え始めた手を強く握る。目の前にいる奏多さんは少し笑みを浮かべていて、悪魔に見えたのはきっと気のせいじゃない…。