呆然と立ち尽くす私に高崎さんは、かわいそうなものを見るような目で私を見つめる。

そんな目を向けられる意味も分からなかった。

「…あんたは今、首輪もなにもついてない。自由なのよ。…宮内琴葉さん」

「…あ、あなたは…どう、して…」

「はい、そこまで」

肩を掴まれたと同時に引き寄せられ、そのままひっくり返りそうになる。

すぐに受け止められたけど、首に回る腕が息苦しくて思うように動けなかった。

「自分の立場、弁えてくれないかな。琴音ちゃんに余計なこと吹き込む許可なんか出してないよね」

私を捕らえたまま、高崎さんを表情なく見つめる奏多さんにゾッとする。口を開こうとしても、首に回った力が増して一言も出させてはもらえなかった。

駆けつけてきた相須さんと瀬名さんが高崎さんの左右を固めたところで、引きずられるように屋敷の中に戻る。

振り返ることも許してくれない奏多さんは、部屋まで戻ってきてようやく手を離してくれた。