ホームルームが終わり、教室内がざわついた。

 あたしが帰ろうと荷物に手を伸ばしたとき、影が机にかかった。

 浩介が鞄を手に立っていた。

「帰ろうか」

 あたしは頷いた。

 あのことを聞いてから、浩介と話を全くしていない。

 あたしたちは会話をしないまま、教室を出た。

 学校を出てから、浩介があたしと浩介の家とは別方向に歩き出した。

 あたしは戸惑いながらも、後を追った。

「今日、時間ある?」

「大丈夫」

「なら、どこかに寄って帰るか。友達がいい店を見つけたと言っていたんだ」

 浩介があたしの手を掴んだ。不意打ちのような行動に、胸が高鳴った。

 そして、見慣れない道を歩いた後、カフェにたどり着いた。

 あたしもこの辺りにはよく来るが、始めてくるお店だ。

「先月オープンしたらしい」

 あたしの気持ちを察したかのように、浩介が声を出した。

 そのままお店に入ると、あたしたちは各々注文した。その友達のおすすめがケーキセットだったらしく、あたしも彼もそれを頼むことにしたのだ。