本当にバツを与えてくれるのだろうか。

 二人は何をしていたのだろう。

 あたしに内緒で会って。

 あたしと浩介がつきあっていることは多くの人が知っている。いわば公認の仲だ。

 唇を重ねる二人を想像して、胸の奥がむかむかしてきた。

 もしかしたら、それ以上のことをしていたのかもしれない。

 そう考えると、胸の中がもっと黒いもので充満していった。



 怪我?
 別れさせる?

 そんなの生易しい。
 いっそ、あんな二人死ねばいい。

 あたしは感情に駆られて、その文字をタップしようとした。

 だが、そこに書かれた条件が目にはいった。そこでふっと頭の中が冷静になった。


 罰を与えるなんてどうかしている。本当にデートをしていたかもわからない。たまたま会って、一緒に帰っただけかもしれない。何らかの事情があって手をつないでいたかもしれない。

 何よりあたしが死ぬのはばからしい。

 無理があると思いながらも、何度も自身に言い聞かせた。

 納得出来る理由があるかもしれないと考え、まず彼氏に聞いてみようと決意した。