自殺なら罪に問われることはないし、他殺であれば迷宮入りも少なからずあるし、可能といえば可能なのだろう。もっともそんなに迷宮入りの事件が現代の日本で起こっているとは考え難かった。

 相手を殺して、自殺をする。

 それが永和の話から導き出したわたしの結論だ。

 死んでしまえば、罪に問われることはない。書類送検くらいはされるかもしれないけれど。

 確かに捕まらない。

 そう思ったときに首を傾げた。証拠が残らないという発言とは矛盾していた。書類送検されるということは、罪の疑いが確定したということなのだから。

 それに自ら罪を犯せば、復讐サイトなど無意味なものと化す。

「どういうこと? 依頼した相手が自分を殺しにくるってこと? それとも自殺?」

「アクセスしてみたらわかるよ。人生において、五分だけそのサイトにアクセスできるの」

彼女はそういうと、あたしにQRコードの描かれたメモを差し出した。

「五分過ぎたら、どうなるの?」

「二度とそのサイトにアクセスできなくなる。心から復讐したい人に出会っても、何もできなくなるの」

 彼女はそういうと、意味深な笑みを浮かべていた。

 そして、彼女の言っていたサイトにアクセスしたのが今、だ。

 復讐。

 そのフレーズを口にするだけで空恐ろしいものだと、今までは思っていた。けれど、あたしにとっては衝動的にこのサイトにアクセスしてしまうほど、今日の出来事は衝撃的なことだった。