同時に永和との会話が脳裏を過ぎった。

「香織、復讐サイトって知ってる?」
「復讐サイト?」

 あたしは永和の言葉を鼻で笑った。

「それって違法サイト? だいたいあんなことをしたら捕まるじゃない」

 あたしだってばかじゃない。ニュースくらいは見る。 前にそういう事件があって、殺人を依頼したとかでつかまっている人がいたニュースはまだ記憶に新しい。殺人教唆とかそういう罪らしい。

 そういうサイトのことなのだろう。

 もっともあたし自身は見たことがないため、どんなサイトなのかはわからないけれど。

「違う、違う。そういうサイトじゃなくてね、証拠も残らないから捕まらないんだって。でも対価を考えるとリスクも大きいけどね」

「対価?」

 永和はあたしの耳元でそっと囁いた。

「賭けるのは寿命。要は残りの命なの」

 あたしそれを聞き笑ってしまった。

 まだ一千万とか二千万とかそういう話をされたほうがわかりやすかった。それは目に見える金額であるためだ。

 寿命なんて誰かが決められるものじゃない。いや、選択肢は二つだけなくもない。

 要は命を強制的に終わらせるということ。自殺か他殺だ。