「どう? 三か月たったあとの感想は? 命乞いでもする気になった?」

 あたしは首を横に振った。むしろ逆だ。やっとこれから逃れられる。みんなと違う記憶からも、二人を殺してしまったという罪悪感からも。

 永和は不思議そうに首をかしげた。

「逆かな。待ちくたびれた。あたしをどうやって殺すの?」

「これであなたの首を切り落とすの。痛みも何も感じない。死因は適当にでっちあげるわ」

「そっか。自殺以外にしてほしいな」
「なぜ?」
「浩介の死を気に病んだみたいでしょう」
「全く何も感じていないの?」

「罪悪感はあるけれど、彼を追って死んだとは思われたくないの。あたしの知らないところで綾香と付き合っていたんだから」

「よくわからないけど、そういうものなのね。人間は。あなたの希望があれば、それくらいならかなえてあげる」

 あたしはほっとして胸をなでおろした。

「準備はいい?」

 頷きかけたあたしは一つ気になっていたことを問いかけた。

「晴美もあなただったの?」

「それでもいいけど、正確にはこの子」

 永和は足元の猫に視線を送った。