「あのね、今日、三奈が言っていたんだけど、表通りにおいしいカフェができたんだって。今度そこに二人で行こうよ」
「そうだな。じゃあな」

 電話を切ろうとする浩介の会話にしがみついた。
 ここで電話をきったら、綾香とそういうことをするかもしれない。
 そんなの耐えられなかった。

「やっぱり今からいこうよ。あたしおごる」
「今日は悪い。用事がある」
「どうしても今日、行きたいの」
「悪い。じゃあな」

 一方的に電話が切れた。あたしの目から涙が毀れた。

 大好きだったのに、別れるしかないのだろうか。

 別れたら、二人が目の前で付き合いはじめるかもしれない。

 あたしと浩介がが学校で仲良くしていたかのように。

 そんなの耐えられない。

 あたしはスマホを手にした。そしてブラウザを起動したとき、あのサイトが自動的に表示された。
 だが、あのときとは選択肢が増えているのに気付いた。

二人が全治一ヶ月の怪我をする。

必要寿命 六ヶ月。



二人を別れさせる。

必要寿命 一年。



二人を殺す。

必要寿命 あなたの寿命全て。



二人を殺す。
あなたの寿命の二十年分。

「二十年?」