大学に入って、バイトでもしたり、どちらか一人暮らしをしたら変わってくるとは思うが、なかなかそうはいかない。

 あたしは家の前まで浩介に送ってもらい、彼と別れた。

 リビングにいる母親に挨拶をして、家の中に入った。

 正直、気にならないといえば嘘になる。でも、このまま何もないなら、そのままなかったことにしてしまおう。魔がさしただけかもしれないのだから。

 部屋に戻った時、あたしの携帯にメールが届いた。アドレス帳には登録されていない電話番号から送付されていた。迷惑メールだろうと中身を軽く確認して削除しようとした、あたしの手の動きがとまった。あたしは添付されていた写真を見て、顔を引きつらせた。

 そこには浩介と綾香が映っていたのだ。あの晴美に見せられた写真とは来ている服が違った。拝啓に写っていたのは、今日あたしと浩介が行ったお店だった。


 二人は親しげに微笑みあい、ケーキを食べていた。

 あたしの口の中にすっぱい香りが広がってきた。携帯を放り投げ、トイレに駆け込んだ。

 あたしの口からさっき食べたものが胃液と一緒に飛び出してきた。

 友達なんかじゃない。行ったのは浩介自身だった。それも綾香と一緒に。

 一体何なんだろう。

 何を考えているんだろう。
 あたしは汚れた唇を拭い、歯をたてた。