「それ多分TGC(東京ガールズコレクション)と勘違いしてない?アルファベットは一字違いだけど、内容は全然違うわよ」

オカマ……いや、皆村さんは人差し指を立て真剣な顔で詰め寄った。

「今現在のこの社会、自殺者と犯罪数が著しく増えてるのは知ってるわよね?」

……いくらアニメとゲームが好きなオタクである私でも、流石に知ってる。

もう半年に一回くらいの頻度で学校の先生や生徒が自殺してるくらいだ。

満タンにお湯を入れた浴槽の栓を抜いたように、どんどん人口は減ってる。

学校帰りに死体もよく見るし、クラスメイトも一ヶ月足らずで五分の一が亡くなった。

もう葬式や通夜なんて飽きるくらい行ってる。

海外からは、対策を練った方が良い、政治家は何をやっている、新しい法律案を……と提案するが、実際国会議事堂で何をやっているのか、偉い人は何もしない。

大人は『変化』を恐れて、このおかしい現状を誰も変えようとしない。

この生きながら死んでるような、魂があるまま地獄を見るような日常が、当たり前になりつつある。

それが、今の、この時代の日本。

「それが何?」

「TGGはそれを未然に防ぐ団体よ。まー、簡単に言っちゃえば、正義の味方ね☆」

「帰る」

「待って待って待って!お待ちなさいよ!」

くるりと方向転換して高速早歩きで去ろうとするけど、皆村さんはしつこく私についてくる。