「阿弓~、また明日ね!」
「じゃーねー」
「おう、また明日~」
親友三人組のうち、私だけが電車通学だから、駅で別れた。
さーてと、あとは電車乗って帰るだけ……
『よーし、じゃ、ここが私達の秘密基地ね!』
「……」
さっき頭に浮かんだ、昔の記憶が脳内にちらつく。
進路希望調査の紙を握り潰したい衝動に駆られながら、私は学校鞄を強く握る。
はーぁ。私も大概馬鹿だな。
何が秘密基地だリーダーだ。
何も出来ないただのガキのくせに、なんであんな遊びしてたんだろ。
正義の味方って言ったって、何が『正義』なのかも分かんないままただ称号と設定に酔って、遊んで、ふざけてただけだ。
結局ごっこ遊びだけで終わって、何も結果を残せてないまま、あいつらとは疎遠になってしまったし。
年齢差もあり、学校が一緒になることも無く、ただの思い出になった。
……今、何してるかな。あいつら。
風の噂で、チビのアイリはアメリカに行ったって聞いたし、リボンがトレードマークのアサヒはアイドルになる夢を諦めたと聞いた。
おかっぱ頭のユーリとキャップのコトノは……分からないし、詮索しようとも思わない。