つまんないかもしれないけど、それが一番……親とか周りの人を安心させられるでしょ。
「素直になりなさいな。本当の貴女は、もっと自分をさらけ出して、ルールに縛られないで、自由になりたいはずよ」
なんだか怖いくらい、この人には何もかも見透かされてる気がする。
皆村さんの温かい手が私の肩に置かれ、気が緩みそうになる。
私は……私の本当にやりたい事は……なんだっけ……?
昔の純粋な私は、何を望んでた?
「……皆に、親に、自分を見てほしいのかもしれない。寂しいのかも、私」
「海外在住のご両親?」
「あぁ。うちの親、私を産んですぐ海外行っちゃって……顔、よく覚えてないんだ」
私は七人兄妹の末っ子長女。
両親はきっと、男の子が生まれるのを望んでたんだろう。
だけど、生まれたのは私。女の子。
だからきっと、嫌になって、逃げたんだ。
授業参観は親ではなく兄が来るし、お弁当も兄が作る。
他の皆は授業参観に親が来てたし、親の愛がこもったお弁当持って来てた。
『あゆみちゃんのお母さんって、どんな人?』
『私のパパね、今度遊園地連れてってくれるんだ!』
やめて……やめて……!!