「よーし、じゃ、ここが私達の秘密基地ね!」
もう古くて使われなくなったツリーハウスに『JG秘密基地!』と書かれた看板をかけ、私は偉そうにリーダーぶって豪語した。
小学生の夏休みはワクワクと挑戦と冒険でいっぱいで、どうにも変なテンションになってしまう。
当時の私は、兄が教えてくれた場所で年下の友人達と一緒にヒーローごっこをしていた。
蝉がうるさい森の中、パチパチパチと小さな拍手が上がる。
「すっごーい!かっこいーね!」
おかっぱ頭の少女が心から尊敬の意を顔に表す。
リボンを猫耳のように付けた少女も、便乗して提案する。
「ねぇ、アユさん。役割決めようよ!」
「役割?」
「うん、例えば、ユッちゃんはお花屋さん、あたしは武器屋さん、コトちゃんは薬屋さん、みたいな!」
リボンの少女は目を輝かせて提案するが、キャップを被った少女は不満そう。
「え~、おままごとみたいでかっこ悪いよ。せっかくヒーローなんだから、もっとかっこいーのにしよーよー!レッドとかピンクとかさ!」
「あ、そっちの方が良いね!じゃ、あたしピンクが良い!」
コロリと意見を変え、キャップの少女にリボンの少女は便乗した。