結局、エステは撮影当日まで計三回やらされた。
そして、今日、とうとうその日がやってきた。

社内の広報誌だが、注目度は半端ない。
何故なら、親会社であるKOGOにまで、更新は知らされるからだ。

案の定、今朝早く、白鳥からメールがあった。
何故ラインではないのだ、と思った。いつもなら、そうだからだ。

開いて驚いた。
それはKOGO次期後継者としての、正式なコメントだったからだ。

クソッ、何が期待しているだ!
どうやら、『お雛様』と『十二単』というキーワードが、日本贔屓のKOGO全社員のハートをくすぐったらしい。

「海外の人たちは、古式ゆかしい日本の美を愛している。期待を裏切ることのないように!」

メールの最後にそう綴られ、釘を刺された。
これで僕の逃げ場はなくなった。

相反して、女は朝から嬉々としていた。
まぁ、憧れの十二単だからな。

しかし、本当に大丈夫だろうか?
着物に押し潰された、なんていうのはシャレにもならない。
一抹の不安を感じながらも、僕たちは別々の部屋で準備を開始する。