否、だが、施術するに従い、この何とも言えない気持ち良さ、正に至福の時。
終了後の気怠さに伴い、一皮も二皮も剥けた感。また来たい、と思ってしまう。
癒し? そんなものを感じた。

こうやってリピーターは生まれるのだな、と実感した瞬間だった。

「恭吾さん、お美しいです」
「あらまぁ、本当だ」

竜崎、君までちゃっかり、しっかり受けていたのか!
妙にピカピカな二人を見ながら、男に『美しい』は褒め言葉ではない、と言う。

「あら、女性も男性も美しいに越したこと無いわよ。美は世を向上させ、世界を救うのよ」

時々……否、いつもだが、竜崎の言葉は宇宙語だ。

あのHAPPYを纏うパーティーで知ったのだが、彼女の彼氏は天下のT大卒だそうだ。だから、なるほど、と思った。天才と渡り歩くには、これぐらいクレージーでないと……と。

たぶん、それを口に出せば、矢崎課長だけには言われたくない! と返り討ちに合うから言わないが……。

「流石、清香様。人は美に貪欲ですものね。お金に糸目をつけず追求する人も大勢です。ビューティ業界はいつの時代も、廃れること無く進化していますものね」

だが、それを女は理解できているようだ。
もしかしたら、この女、ゴマちゃんでも猫でもなく、未知の生物……なのか?